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ヒルドイド[ヘパリン類似物質]作用機序、特徴、副作用

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角化性皮膚疾患イラスト

保湿薬の一つである、ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]:保湿薬

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]は、アトピー性皮膚炎など皮脂欠乏症の治療に使用される薬です。

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の中の水分を正常に保つセラミドが減少し、水分の保持が難しくなりアレルゲンが体内に入りやすい状態になっています。

アトピー皮膚状態

アトピー性皮膚炎の原因は、ダニやほこりなどのハウスダストや乾燥、ストレスなど様々な環境が影響しています。

アトピー性皮膚炎は、次の3つの症状を生じます。

  • 皮膚バリア機能の破たん
  • アレルゲンの侵入
  • 炎症・かゆみ

それぞれの症状を改善するために、アトピー性皮膚炎の治療では、次の3つが基本となります。

  • スキンケア
  • アレルゲンの特定、侵入阻止
  • 薬物療法

アトピー性皮膚炎治療

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の作用機序

アトピー性皮膚炎の治療のひとつがスキンケアです。

外部からのアレルゲンや異物が侵入しやすいため、保湿によって皮膚の修復力を高め角層がはがれないように持っていきます。

MEMO

ヒルドイドは、ヘパリン類似物質と呼ばれるムコ多糖類が有効成分の保湿薬です。

ヒルドイドはワセリンや尿素クリームよりも保湿力が高いとされています。

ヘパリン類似物質とは、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンによる二糖の繰り返し構造からなり、最終的に硫酸化したものです。

ヘパリン類似物質構造違い

ヘパリンに似た構造を持つためこのような名称ですが、別名ムコ多糖類多硫酸エステル、洋名ではヘパリノイドと言われます。

上図のRの部分にH、あるいはSO3が入るため、水酸基・硫酸基・カルボキシル基を多く持ち保水力に優れているのです。

ヒルドイド作用機序

やっくん

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]は、水酸基・硫酸基・カルボキシル基といった保水作用の高い親水基を持ち、強力な保湿作用を示します。

また、血液凝固抑制作用、血流量増加作用による血行促進作用も持っているため、しもやけや傷跡を残したくないときにも使用されます。

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の特徴、使い方

ヒルドイドは、ソフト軟膏、クリーム、ローション、ゲルと4つの剤形で販売されています。

クリームやローション剤は軟膏に比べ添加物が多く含まれているため、過敏症などの局所症状に注意しなければなりません。

ヒルドイドソフト軟膏やヒルドイドクリームは、他のステロイド薬と併用する場合が少なくありません。

保湿剤とステロイド薬どちらを先に塗るべきかよく議論になりますが、特に塗る順番は決まっていません。

一般的に、保湿剤の後にステロイド薬を塗るよう皮膚科医は指導していますが、効果を優先する場合は、ステロイド薬のあとに保湿剤を塗る場合もあります。

塗り薬の塗布量は、1FTU(フィンガーチップユニット)が良く使われます。

1FTU(フィンガーチップユニット)とは、人差し指の先から第一関節まで出した量であり、1FTUで成人のてのひらの面積約2枚分に相当します。

顔・首 胸・腹 背中・尻 片腕 片手 片脚 片足 両手両足
3-6ヶ月 1 1 1.5 1 1.5 8.5
1-2歳 1.5 2 3 1.5 2 13.5
3-5歳 1.5 3 3.5 2 3 18
6-10歳 2 3.5 5 2.5 4.5 24.5
成人 2.5 7 7 3 1 6 2 40.5

[Clinical and Experimental Dermatology, 1991/16(6),444-447]

ヒルドイド軟膏・クリームは1FTU=0.5g、ヒルドイドローションは1円玉大=0.5gになります。

1FTUは、ステロイド薬については厳密に守る必要がありますが、保湿剤は量が多いほど、回数が多いほど保湿効果は高くなるため、そこまで気にする必要はありません。

ステロイドをヒルドイド[ヘパリン類似物質]で希釈混合時の効果

ヒルドイドは、ステロイドの希釈目的で混合されることがしばしばあります。

  • アンテベート+ヒルドイドソフト
  • マイザー+ヒルドイドソフト
  • メサデルム+ヒルドイドソフト
  • ボアラ+ヒルドイドソフト

これらの場合、安定性はもちろんですが、効果の減弱や増強についても考えなければなりません。

例えば、リドメックス軟膏50g、ヒルドイドソフト50gを混合した場合を考えてみましょう!

混合軟膏100g中にリドメックス軟膏が50gなので、効果は半分になると思いますよね。

しかし、混合軟膏の皮膚透過性を見ると、リドメックス軟膏単独の約2.5倍の透過性を示しているのです。

リドメックス透過性

これはほとんどの保湿剤が、角層内に水分を取り込みやすい乳剤性基剤でできていることが原因です。

この皮膚透過性が増加すると、ステロイドの効果の指標である血管収縮試験のスコアも上昇することが確認されています。

リドメックスとヒルドイドソフトの場合は、ヒルドイドソフトで希釈しても血管収縮効果はほとんど変わりないのです。

リドメックス血管収縮効果

やっくん

ステロイドと混合すると、皮膚透過性が増加し、考えている以上にステロイドの効果が高いままなので注意しなければなりません。

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の副作用

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]は、アトピー性皮膚炎など皮脂欠乏症の治療薬として、1990年に承認された古い薬です。

注意

ヒルドイドの副作用としては、皮膚炎[0.36%]、そう痒[0.32%]、発赤[0.20%]、発疹[0.16%]、潮紅[0.12%]などが知られています。

ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の禁忌

  • 出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)[血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがあります。]
  • 僅少な出血でも重大な結果を来すことが予想される患者[血液凝固抑制作用を有し、出血を助長するおそれがあります。]

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